同一労働同一賃金は“新時代の期間工”を生み出すか

同一労働同一賃金の施行が、
いよいよ来月へとせまりました。
罰則こそないこの“指針”は、
どのように期間工を変えていくのでしょうか?

施行直前のいま、再考察

同一労働同一賃金(以下、同一労賃)が
来月2020年4月より
導入されることが決定しています。

同一労賃に関しては、
「同一労働同一賃金で期間工はどう変わるか?」
というタイトルで、
過去にこのブログの記事でも取り上げました。

期間工の人達からも
同一労賃への関心は高いようで、
(僕も同じなのですが)
このブログの中でも
特に閲覧数の高い記事となっています。

以前に同一労賃の記事を書いたのは
2019年の11月ですが、
施行直前となったいま、
もう一度同一労賃について
あらためて考察してみようと思い、
この記事を書きました。

同一労賃には“罰則”がない?効力はいかほどに

同一労賃には罰則がないため、
同一労賃を守っていない企業を
刑事罰で裁くことができません。

これでは施行しても意味がないのでは?
と思った人も多いと思います。

しかし調べてみると、
やはり同一労賃の施行には、
大きな意義があることが
分かってきました。

“罰則”はなくても“損害賠償請求”はできる

同一労賃には違反企業を罰する法律が
“まだ”制定されていないので、
守っていない企業を
“刑罰で”裁くことはできません。
しかし、民事であるなら別です。

同一労賃施行前の
2019年の時点ですでに、
非正規労働者からの訴えにより、
退職金や賞与の支払いを命じる
高等裁判所の判決がでているようです。


また、今年2020年の先月2月でも、
日本郵便の非正社員が、
「同一労働同一賃金」を求めて提訴しました。


来月に同一労賃が施行されれば、
それは「日本の労働環境の基本指針」として
明確に示されることになるので、
罰則こそなくても、
同一労賃に関係する
損害賠償請求等の民事裁判で、
非正規労働者側が
大いに有利になることが予想されます。

施行後は、“不合理な”労働格差を記録しよう

来月の同一労賃施行以降、
自分が期間工として働いている勤務先が、
格差解消へのしっかりとした対応
説明義務を果たしているならば、
何も問題はありません。

しかしながら、罰則が無いからと、
同一労賃の遵守に怠慢な姿勢を
身近な職場で感じることがあったら、
「不合理な労働格差の具体的な事実」
メモや日記などで

記録するようにしましょう。
また、給与明細
必ず保管しておきましょう。

これは、残業代未払いの会社に
残業代を請求したり、
パワハラの事実を訴えたりするときに
有効である手段と同様です。

明らかに不合理な労働賃金の格差や、
同一労賃を遵守することへの
企業努力の欠如などが認められれば、
損害賠償の民事裁判で
賠償金を勝ち取れる可能性があります。

そもそも裁判が発生した時点で

上記のようにニュースになってしまうので、
イメージが大切な大手企業であれば、
そうなる前に同一労賃を守る
企業努力をするはずです。

つまり、
やはり同一労賃は施行されることに
大きい意義があるということです。

ただ、僕が本当に重要だと考えているのは、
民事でお金を勝ち取ることではなく、
「労働環境の多様化と流動化の実現」です。

そのためには、
同一労賃を遵守することの重要性を、
期間工はもちろん労働者の一人一人が、
意識と知識で示していく必要があります。

“自由で断続的な働き方”はやがて当たり前になる

スウェーデン発祥の家具量販店イケアは、
同一労賃の考え方に基づき、
2014年にすべての従業員を無期雇用化しました。

↓は、その取り組みを推進した
人事部長へのインタビュー記事です


上記の記事から大事なところを引用します。

価値観の多様化が進み、誰もが一直線に会社勤めをして生きていくという時代では、もはやなくなりました。男女を問わず、キャリアの途中で子供を育てたり、介護をしたり、あるいは勉強をしに学校へ戻ったり。どのライフステージにいるかによって、めいっぱい働いて“上”に昇りつめたいときもあれば、“横”へずれて別のことにエネルギーを配分したいときもあるでしょう。本来、人生もキャリアもチョイスの連続であり、状況変化やタイミングに応じて、さまざまな選択肢のピースを柔軟に組み上げていくパズルのようなもの。そのパズルを組み上げる主導権と責任は自分自身にあるのだ、というのが「ライフパズル」の考え方です。

引用元:日本の人事部


キャリアの途中で(育児や介護や)勉強をする。
“横”へずれて別のことにエネルギーを配分する。
状況変化やタイミングに応じて選択する。

これって何かに似てるなあ
と思いませんでしたか?
僕は思いました。
自由を求めて期間工を
選択する人達の考え方と似ています。


年功序列や同じ会社に勤め続けるのが
当たり前な社会の考え方の中では、
“期間工”という選択は、
自由と世間体をかろうじて両立する
(十分ではないものの)
ベターな手段のひとつでした。

しかし、この「ライフパズル」的な考え方が
浸透して雇用環境がもっと自由になれば、
期間工ループ的な働き方は珍しくなくなります。
あるいは期間工だけをループするのではなく、
いろんな職業を渡り歩くことも容易になるでしょう。

「ライフパズル」は
スウェーデン発祥の考え方なので、
日本で上手に適用するには、
日本式に改良していく必要性はあるでしょうが、
国内での議論や試行が活発化すれば
時間が次第に解決していくでしょう。

日本式ライフパズルが浸透していけば、
期間工的働き方を好む人々にとっては、
もっと働きやすい社会が訪れる
と僕は考えています。

「同一労働同一賃金で期間工はどう変わるか?」
でも書いたように、
同一労賃がもたらす変化の方向性次第では、
“従来の期間工”は無くなるかもしれません。

しかし、自由で断続的な雇用環境
当たり前になる中で、“従来の期間工”は、
その社会変化に適応した形へと……
新時代への最適進化を
遂げることになるでしょう。

“新時代の期間工”の誕生に期待しましょう。